
皆さんこんにちは、自転車のキーマートです。
今回は、過去に行ったセミナーの中で、「実技セミナー」をさせていただいた一例をご紹介したいと思います。
今回ご紹介するのは、ご自身で自転車屋を開業されたばかりのSさんからのご依頼です。
うちは埼玉でセミナーもさいたまでやると伝えたのですが、なんとわざわざ静岡から来てくれました!
わたしのセミナーのために、そんな遠くから来てくれるなんて感謝…!
もともとお店は持たず、出張修理をメインでやられていたようですが、晴れてお店を開店することができたようです。
それにあたり、いよいよ整備士の資格を取っておいた方が良いかもとのことで、資格試験の講義をご希望でした。
実は、自転車屋を開業するのに、自転車整備士の資格っていらないんですよね。
なので、とりあえず無資格で開業しちゃってお金を稼ぎながら、慣れてきたら資格を取ろうって人も少なくないです。
無資格でも全然違法ではないので、技術さえあれば大丈夫なんです。
ただ、「有資格者がやっているお店」であればお客さんの信頼度も違うので、今回のSさんもこれから資格を取りたいということでした。
Sさんは普段からお店でお客さんの自転車を整備したり修理したりしているので、そちらの腕前はエキスパートです。
なので今回のセミナーは、完全資格試験特化。
通常整備士試験用のセミナーは、業界に入社したての若手のためにやることが多いので、当たり前ですが基礎からやります。
ですがSさんは基礎は大丈夫なので、資格試験に必要な部分だけを徹底的に詰める感じですね。
しっかりやってほしいとのことでしたので、
車輪組みコースの4時間・39800円と
整備士試験対策コースの4時間・39800円を
丸一日ぶっ通しで行うことにしました。
本来なら2本のセミナーは2日間に分けるところですが、静岡から来ていただくわけですからね。
2回も交通費かけるくらいなら、1日でまるっと詰め込んじゃいましょう。
場所は、浦和駅付近にある貸し会議室の一室。
少人数での座学セミナーをやるときに使っている場所ですが、
今回は車体は1台のみなので机を片づければスペースは充分。
ちなみに千葉真子さんとの対談インタビューを受けたのもこの場所でした!

午前は9:00~13:00、午後は14:00~18:00というスケジュール。
午前中に最難関である車輪のリム組み講義を集中してやり、
午後は車体整備の方にあてました。
休憩にと1時間空けたわけですが、Sさんは少しの時間も惜しい、学びたいとのことでしたので、午前に引き続きリム組のおさらい、質疑応答などの時間にしました。
リム組は、組み方とコツをしっかり学んでもらったので、あとは反復練習あるのみ!
車体整備の方はほとんど大丈夫だと思ってたんだけど、
やっぱり試験はスピード勝負。
「早く整備する」ための手順とかは、やっぱり教わらないと身につかないよね。
あと、日頃の整備でも使うはずなのに意外と知られていなかったのが、
ディレーラーの調整手順。
たしかに日頃の新車整備では変速ワイヤーが外れている状態から整備することはないので当然かもだけど、
ワイヤーをディレーラーに付けてからディレーラーの調整をしていました。
ディレーラーの+-の調整ネジでチェーンの可動範囲を決めてから、ワイヤーを付けないと、
変速調整時になぜ調整しきれないのかの原因潰しができないからね。
ここはしっかりめに説明しておきました。
以下が、Sさんのセミナーメニューの内訳になります。
◆ホイール組み 注意点
・分解時
左右スポーク確認、長さが違うので混ざらないように注意
リムに付けたバルブ位置の赤い印は、当日は消した方がよい
・組立時
ハブをフリー側を上に持ち、まず上から短いスポークを一本
次は下の穴に長いスポークを一本入れるが、
上のスポークから見て左側の穴に上から入れる
あとは残りの穴にスポークを全て通す
・あや取り
フリー側を自分側に向けて、短いスポークから始める
(長いスポークからスタートすると、後で届かなくなってしまう)
バルブの左の穴に入れるスポークからスタート
そのスポークは、ハブの外から内に向かって刺したスポーク
そのスポークから見て、右に4本目のスポークがクロスするもの
これでバルブ穴左側の2穴OK
次は最初のスポークと同じ向きのもので、右隣にあるスポークが、バルブの右側に入る
以降、時計回りの順番でスポークを入れていく
フリー側全てのスポークが終わったら、クロスの向きチェック
フリーと反対側
フリー側とはクロスの向きが反対となる
内から外に出ているスポークを最初の一本として基準にする
そこから右に4本目がクロスする一本
全てのスポークを通す
クロス向きチェック、バルブ穴にクロスがきていないかチェック
フレ取り台に置き、指でニップルを回し、スポークのネジ山が隠れるように回す
全てのニップルを回す
全てのニップルをニップル回しを使って合計9周回す
(一気に9周回すと縦フレが出やすいので、441、711など、計9周になるように分けて回す)
スポークの張力がだいたい固まったか確認
OKならフレ取りを始める
フリー側はスポークが短く、キツキツになりやすいので、
基本はフリーと反対側のスポークで調整する
フレが取れたら、センターが出るようにフリー側のニップルを一定量回す(半周ほど)
センターが出たら、再度フレ取り
やはりフリーと反対側のニップルで調整すべき
フレが取れて全体の張力が極端に緩くなければOK
★どちら側からスタートするのか、どのスポークから入れるのか、
クロスの向きはどちらなのか、
そして作業の手順さえわかってしまえば、あとは練習あるのみです!
分解状態からホイール完成まで、目標40~50分でできるように練習しましょう!
◆車体整備
試験開始前に準備状態を完成させる
・分解試験開始25分間
車輪分解に時間を使えるように、時間配分注意
・組立試験開始80分
今回ホイール組み抜きで組立作業にかかった時間66分
本日Sさんが行っていた手順↓
リア車輪
スタンド
リアディレーラー
チェーン
フロント車輪
ハンドル
前ブレーキキャリパー
シフター
シフトワイヤー 変速調整
サドル
ペダル
ベル
※フロント車輪は早めに付けた方がラク
早く大きな部品を片付けられるため。作業スペースの確保。
早く普段修理しているスタイルに落ち着けて、
サイクルスタンドから下ろした方が取り回しやすいため。
リア車輪→フロント車輪→スタンド
※ハンドル付けた直後にシフターも付けた方がラク
シフターがいつまでもブラブラしていると作業の邪魔になるため。
ハンドル→シフター
※ハンドルステムのボルト、取りつけ順序注意
ステムのてっぺんのボルトから先に固定する。
サイドのボルトを先に締めてしまうと、ステムスペーサーが動いてしまうため。
※変速調整前にペダル付けるとラク
変速調整時にペダルを回すため。
ペダル→シフトワイヤー→変速調整
※ブレーキシュー取り付けミス
前シュー、左右で取り付け向きが逆 最終確認で注意
固定ナットのワッシャーを入れ忘れ
装着忘れ部品も、組み立て完成後にチェック
※リアリフレクター取り付け角度注意
後ろからの車のライトの光を真っ直ぐに反射しなければならないので、
反射する光が進行方向に対して平行になるように、
地面に対しては垂直になるよう取り付ける。
※シフト調整について
ワイヤー付ける前に、ストローク調整を済ませる。
ハイとローの限界を先に決めるため。
コレが決まれば、変速調整時にストローク調整ネジを操作する必要がない。
その後にワイヤーを付け、変速調整に集中する。
※立ち位置、作業位置注意
自分は工具がある場所からなるべく動かないようにする。
タイムロス対策のため。
できる限り早めに車体をサイクルスタンドから降ろし、先に固定系ネジをしっかり締め付ける。
ペダル、リア車輪ハブナットなど、締め忘れ防止のため。
そしてサイクルスタンドから降ろすことで、車体が取り回しやすくなる。
自分が移動するのではなく、車体の向きを変える。
車体の左側でできる作業は左で一気に終わらせる、その後向きを変えて右側の作業。
★車体組立は、ホイール組みに40~50分取られることを考えると、30分程度しか時間取れません。
ただ、作業の改善点で指摘した作業そのものの順番と、ご自身の立ち位置の部分を改善できれば、大幅にタイムは短縮できるはずです。
あとは締め忘れ、部品取り付け忘れなどの凡ミスがないように、最終確認を行いましょう。
◆まとめ
車輪組はできれば毎日練習、車体組みは週に1回の練習で大丈夫だと思います。
いずれも作業を身体に染み込ませて、手順を迷いなく流していけるように練習しましょう。
試験まで頑張ってください!
整備士試験用のセミナーなので、試験に使う工具を主に使用しました!


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