
皆さんこんにちは、自転車のキーマートです。
今回は、過去に行ったセミナーの中で、「実技セミナー」をさせていただいた一例をご紹介したいと思います。
今回ご紹介するのは、長年競輪場で競輪用自転車の整備をされていたAさんからのご依頼です。
まもなく定年を迎えるまで、長年競輪整備をやられており、定年後はちょっと修行してご自分で自転車屋をやりたいとおっしゃっていました。
競輪整備をやられていたといっても、競輪車体と普通の自転車は構造がかなり違うので、
普通の自転車の整備・修理に関してはまったくの素人という状態でした。
Aさんは一般自転車の全体的な整備点検技術と、よくある簡単な修理についての講義をご希望でした。
もともとAさんは整備士ゆえに知っている部分もあり、かつ普通車に関してはまったく知らない部分があるわけなので、
通常こちらで用意している「プロ向け初級講座」と「プロ向け中級講座」の内容をミックスさせたような内容で講座を組み立てました。
4時間で29800円の特別初中級講座といったところですね。
当日Aさんはお仕事で、午前中から昼過ぎまで、2箇所の競輪場を回って整備をされて来ました。
セミナーは16:00~20:00の4時間。
私の父親ほどの年齢の方ですが、お仕事が終わってからアフターの時間を使ってさらに勉強のためにセミナーを入れる、というその気概には頭が下がりますよね。
見習いたいと思いました。
ここまでして私のセミナーに来てくれることにも感謝です。
場所は与野駅付近にある、とある貸しダンススタジオ。
今回のセミナーでは私が整備・修理するのを見てもらいながら、隣で同じようにAさんに整備・修理をしてもらって学んでもらおうと思っていたので、車体が2台必要なんです。
ダンススタジオであれば、車体2台を入れても広々と使え、さらに自分たちの姿を大きな鏡で見られるので、自転車整備を教える空間としてはとても気に入っているところです。
ちゃんとスタジオのご迷惑にならないよう、床が傷ついたりしないように、マットを敷いた上で作業をしていますよ。
途中、スタジオの運営会社によるブッキングトラブルも多少あったものの、しっかりと時間内に伝えるべきところを伝えられたセミナーでした。
以下が、Aさんのセミナー内容の内訳になります。
各ネジを回す方向、締めるのか緩めるのかを、どっちに回していいか迷いまくってたのが印象的でした!
競輪の車体って、ネジ回す整備はないのかな?
◆ハンドル調整 20分
・六角レンチによる高さ、角度の調整
高さを設定したら、左右がズレていないか、ハンドルの上から車輪の軸を通して見ることで確認
固定されているかどうか、前に回ってタイヤを膝で挟み、ハンドルを回そうとして確認
角度はハンドルステムとグリップが横から見て約90°になるように設定
グリップを持って上から体重をかけ、固定されているか確認
・ハンドルからフロントフォークのガタ、固すぎ問題
ステム部分にあるナットをモンキーレンチで緩める
その下にあるギザギザのついたカップ型ナットをウォーターポンププライヤーで緩める
この2つのナットはダブルナット状態
緩めすぎるとガタガタ、くるくる回転状態になる
締めすぎるとハンドルが固い、動かない状態になる
丁度いい塩梅で下のカップナットを締め、上のステムナットで動かないように固定
◆ブレーキ交換 20分
・ブレーキシュー(ゴム部分)交換
10mmレンチでブレーキワイヤーを留めているナットを外し、ワイヤーを解放
ブレーキキャリパー本体が開く
10mmボックスドライバーでシューのナットを外すと、シューが外れる
新しいシューのナットを取り付けて交換
キャリパーの開き具合を手で押さえながら、ワイヤーのナットを締める
・ブレーキワイヤー交換
10mmレンチでブレーキワイヤーを留めているナットを外し、ワイヤーを解放
ブレーキレバー部分に引っかかっているタイコを外し、ワイヤーを抜き取る
新しいワイヤーのタイコをブレーキレバーの穴に引っかけ、ワイヤーをキャリパーへ通す
キャリパーの開き具合を手で押さえながら、ワイヤーのナットを締める
◆クランク 1時間
・クランクを外す
左側からスタート
ナットをカバーしているキャップを外す
14mmのラチェットレンチでナットを外す
クランク外し工具をクランクに装着する(ネジ山3本分くらいで充分)
クランク外しのネジを締めこむと、クランク軸が押され、クランクが外れてくる
右側は、ギアがあるのでチェーンを緩める必要がある
チェーンカバーの後ろ側のネジを外し、後輪のナットを緩める
チェーン引きを緩め、車輪を前に押し出すことでチェーンが緩む
緩んだチェーンを前のギアから下ろす
あとは左側と同様の手順で右クランクを外す
・BBを外す
ダブルナットになっている外側のリングナットを、切りがき部分に専用工具を当ててハンマーで叩きながら外す
内側のカップナットをBBツールで緩めて外す
カップが外れると、左側からクランク軸棒が引き抜ける
(右側のみ逆ネジだが、右側は外す必要はない)
クランク軸に付いている左右のベアリングのリテイナーを外し、ベアリングが外れないように洗浄、グリスアップ
軸とリテイナーを元通りに戻し、カップナットから装着する
カップナットはベアリングを直接圧迫しているので、緩すぎるとガタが出る、締めすぎるとベアリングを損傷してしまうので、締め具合に注意する
カップナットが良い塩梅に閉まったら、外側のリングナットを締めてダブルナットにして固定
・クランクを戻す
右側から、外した手順の逆で戻す
右側から付ける理由は、左側を最後に残しておいた方が、締め具合の最終確認がしやすいから
右クランクを付けてギアにチェーンを乗せ、後輪部分でチェーンの調整を忘れないように
チェーンカバー装着、後輪ナットを締め、左クランクを装着
最後にクランクが装着された状態で、ガタ、締め具合の確認
不足があるようなら左側のみで調整
・別の車体のBB
ブリヂストンの車体の方のBBは、ユニット式
BB外し工具もギザギザタイプで違うものを使用
◆後輪タイヤ交換 1時間
・ブレーキを外す
後ろ側ブレーキ、ワイヤーを留めてある10mmナットをボックスドライバーで外す
ブレーキ本体と車体を留めているアームクリップユニットを、後ろ側から8mmレンチで押さえながら、前からプラスドライバーで緩めて外す(自転車によっては10mmのネジのものもあります)
・チェーンを外す
チェーンケースの後ろ側のカバーを外し、後輪ナットを緩め、チェーン引きを緩めていく
チェーンケース右クランク部分、目玉カバーを外し、ドライバーを引っかけてチェーンを下ろす
・車体から車輪を外す
後輪左側のナットを緩めたら、サイクルスタンドに乗せる
(サイクルスタンドに乗せてからでは力を入れにくいのでナットが緩めにくい)
後輪ナットを両側外し、ハブ軸に付いているキャリア、ドロヨケ、スタンドを外して作業の邪魔にならない位置に移す
後輪を車体から引き抜く
左右のチェーン引きは、左右で形状の違うものもあるので、左右がわかるように保管しておく
・車輪からタイヤ、チューブを外す
黒いバルブキャップ、銀のバルブナット、バルブ、10mmナットを外す、空気が抜ける
バルブから遠い位置に1本目のタイヤレバーを挿入、タイヤのビード部分を持ち上げた状態のまま、タイヤレバーをスポークに引っかけておく
(中のチューブを傷つけないように注意)
2本目のタイヤレバーを、1本目から少し離れた位置に挿入してタイヤのビードを持ち上げる
何度か繰り返し、少しずつタイヤを車輪から外していく、後半は手でも外れるようになる
タイヤを車輪から外し、中のチューブも外す
新しいタイヤを車輪に、「片側だけ」装着する
片側の装着されていない側から、バルブ穴にチューブのバルブを通し、チューブ全体をタイヤに納めていく
チューブが収まったら、タイヤを車輪に手ではめていく
(この時工具は使わないこと、中のチューブが傷つきます)
タイヤ全体をもみこみ、タイヤとリムの間にチューブが噛んでいないか確認
バルブを付けて半分くらい空気を入れる
車輪を回転させ、タイヤのラインを確認、タイヤとリムの間にチューブが噛んでいないか確認
空気を完全に入れる
・車輪を車体に戻す
ハブ軸にチェーン引きを引っかけ、車輪を車体に戻す
スタンド、ドロヨケ、キャリアの順で装着、ハブナットを仮止め
チェーンをギアに乗せてチェーン調整、ブレーキも仮止め
チェーン引きによりセンター出し
チェーンケースを戻し、すべての仮止めを完全固定して完成
(仮止めネジの締め忘れは厳重注意!)
◆前輪ハブ 30分
ハブ軸の両側に付いているダブルナットを、「片方だけ」ハブコーンレンチで外す
(必要に応じてバイスプライヤーでハブ軸を押さえ、通常レンチでも回せる)
片方外れれば軸が抜けるので、抜けたところにベアリングがある、ボロボロ落ちるので紛失注意
(今回のケースでは片側10個ずつ)
ベアリングと軸の洗浄
上側にした車輪側にベアリング受けのカップがあるので、そこにグリスを盛る
グリスにベアリングを置いていけば、ボロボロこぼれない
上からダブルナットが付いている方がベアリングに当たるように、軸を車輪に挿入
ベアリングを軸で押さえた状態で、車輪をひっくり返す
上になった側に再度グリスを盛り、ベアリングを置く
ベアリングを圧迫しすぎないように、ダブルナットを締めこんでいく
ガタも出ず、固すぎずのところで調整できれば完成
◆フレ取り 20分
・車輪組み、6本組の説明
フレ取りは、全体的なスポークの張力を確認して、基本的にはニップルを「緩める方向」で考える
スポークが張っているのにリムがフレているということは、変な力がかかってリムが歪んだということ
そこからさらにスポークを引っ張ってしまうと、スポークが切れる原因になりやすい
・引っかけ組みの説明
リム側に先にスポーク、ニップルを通しておき、後からハブ軸に引っかけることで組む方法
◆まとめ
ネジを回す方向の覚え方!
後輪右側のハブナットを緩める時、自分が後輪右側後方に立ち、右手に持った工具で手前側下に降ろす!
この動きを基準として考えましょう!
セミナーなのでいろんな工具を使いました!↓


コメント