こんにちは、自転車整備士の椿直之です。
今回は、自転車店の売り場担当者としてお客様に聞かれたらどう答えるか、という接客についてのお話しです。
自転車の購入で迷われているお客様から、こんなことを聞かれたことはありませんか?
「おすすめはどれですか?」と。
決まった答えはないですし、答えは一つではありません。
まずはあらかじめ用意しておける答えとしては、本当におすすめできるその会社のプライベートブランドや、社内で決まっている「今月のお買い得品」や「広告商品」をすすめてみるのは手です。
ただそれらは当然万人受けする機能を持っているわけではないですし、そのお客様が必要としているニーズに合っているかどうかはわかりませんよね。
あくまでこんな商品があります、という導入のご案内としてとどめておきましょう。
ここからはお客様との会話から、どんな自転車を求めているのかを引き出す接客タイムです。
このような質問をするお客様は、自転車にどんな機能があって、自分がどのようなシチュエーションで自転車を使い、そのシチュエーションに合った機能はどれか、ということが全く整理できていない人です。
これを整理するために、少しずつこちらから質問を投げかけてみましょう。
まずは「通勤や通学でご利用ですか?」ですね。
通勤通学で利用するなら、毎日自転車に乗るでしょう。
車体は頑丈なものが良いですし、タイヤは厚いものが良いでしょう。
帰りが夜遅い場合は、ライトは明るいもの、できればオートライト。
道中坂が多ければギア付きのもの。
雨の日も乗らなければならないなら、スポーツ車ならドロヨケ付きのもの。
かなり長い距離を走るなら電動アシストをご案内してしまう。
などです。
通勤通学ではなかったとしたら、走る距離が短ければギアがないもの。
お買い物で荷物が増えそうならカゴが大きく、リアにもカゴを付けられるタイプがいいですね。
「ほんとにたまにしか乗らないんだよね。」という方でしたら、
価格の切り口から話を進めてみましょう。
まずは一番安い自転車からご紹介。
その自転車の特徴を説明し、なぜ安いのかをわかってもらいます。
最低限の機能しかなく、全体的に鉄のパーツが多くてサビやすい、ブレーキの質が悪く音が鳴りやすいといったデメリットをご案内し、1つ上のグレードならサビに強い、また1つ上のグレードならブレーキが良い部品を使っている、というように段階的に金額順で下位モデルから見ていけるようにします。
話を進めていくと、お客様の方も少しずつ細かい希望が出てくるようになります。
軽いものが良い、ということならアルミフレームのものをご案内します。
できるだけ長持ちするものがいいなら、ステンレス車輪やカートリッジ式BBを装備したものがいいですね。
試しにまたがってもらったら、またぎにくい場合もあるので、そういう方には低床フレームをすすめてみましょう。
保管する場所も聞いてみると良いと思います。
屋根もなく雨ざらしなら、なるべくステンレスパーツが多く使われているものがサビに強いです。
マンションの駐輪場で前輪を持ちあげてラックに乗せるようなところだと、電動自転車で車体が重すぎると持ちあがらなかったり、小径タイヤの子乗せ電動車などはタイヤの幅が太く、ラックに入らないこともあります。
このように自転車売場でご案内する立場の人間は、整備や修理をミスなくできることは当然ですが、お客様一人一人のニーズに合わせて臨機応変に対応を変えられるように、それぞれの自転車の機能をしっかり把握しておくことがとても重要です。
単なる機能の良し悪しだけでなく、こういうお客様にはこっちが良い、というターゲット別の視点で自転車を観察するようにしましょう。
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